ケンジロニウスの再生

ロック史を追いながら関連図を作成(関連図挫折中)

3-2 聖なるポリリズム"YES"!!

このブログ始めて、新たな発見がほんとにたくさんある。歴史なんてもんは確かか不確かか本当のところを言うとわからないんだけど、書くからにはなるべく間違えてはいけないということでめちゃくちゃ調べてるわけ。英語の文を読む力が少しついた気がするくらい。ま、基本wikiなんだけどね。

書こうと決めたらそのアルバムもめちゃくちゃ聞きこむわけで、中には何年も聞いてないものもあって聞き直すいいきっかけになっている。前回のムーディーブルースなんかそれこそ10年くらい聞いてなかった。ってかこのアルバム持ってたんだ。ってレベル。昔聴いてた時とはやっぱり捉え方や感じ方が変わっていて、楽しいのよ。

そんなこんなで勉強吸収の毎日なんだけど、これを機に治したい病気があって、「75年より後に出したアルバムを全く聞けない病」っていう病気で。これは60年代70年代前半にデビューしてるバンドに限ることで、例えばちょうど75年ごろから始まるパンク勢や80年代のニューウェーブ、90年代ブリットポップ勢やオルタナ勢などなどは全然聞ける。

前にも言ったが、60年代前半のビートルズ登場によるロック誕生からフォークロック、サイケデリックロック、そして70年前半にピークを迎えるプログレッシブロックへと続く道は表現方法としての音楽、芸術性としての音楽という点でいうと確実に「進化」の道を辿っていると僕は思っている。

プログレッシブロックはロックにおける表現の限界を目指したが、73,4年ごろに見事に限界点に到達しミュージシャン側にもリスナー側にも「もうこれ以上はない」というレベルに達した感が流れ、一度リセットしようと言わんばかりにパンクロックが登場。そこからロックは様々な形に「変化」していき、その多種多様なロックは僕を楽しませてくれるわけだが、60年代から進化の道筋を踏んできたバンドの75年以降というのは「変化」ではなく「退化」だとどうしても感じてしまうのだ。この病気をなんとか治したいのねん。これはプログレバンドに限らず、ディランにしたって75年の「血の轍」まででそれ以降ロクに聞けていない。

んなわけで今回は「YES」について書くつもりなんだがイエスもピーク以降の活動はほとんど頭に入っていなかったので調べてみると、元々メンバーの流動が多いバンドではあるが晩年のメンバー流動は凄まじくてアホらしくて笑っちゃった。

結果、やっぱり75年以降はどうでもいいやってなっちゃった。

3-2 聖なるポリリズム"YES"!!

f:id:kenjironius:20190413003920j:image

さて3章はプログレッシブロックを見ていこうということでプログレ5大バンドの1つ、YES。

ここまでの図ですでに繋がってるとこはここ。

f:id:kenjironius:20190413005311p:image

78年にムーディーブルースに加入する前74年に1年ほどイエスに在籍したパトリックモラーツ、デヴィッドボウイの2ndでの鍵盤、ストローブスへの参加を経て71年にイエスに加入し黄金期を支えたリックウェイクマン。2人とも途中加入のキーボーディストである。

デビュー

f:id:kenjironius:20190413022341j:image

69年に1st「YES」でデビュー。ラインナップはジョンアンダーソン(Vo)、クリススクワイア(Ba)、ビルブラフォード(Dr)、トニーケイ(key)、ピーターバンクス(Gt)の5人である。

f:id:kenjironius:20190413011922j:image

1stではまだそこまでプログレッシブ要素は開花していないがそれぞれの持ち味がすでに確立していて唯一無二の音楽を作り出している。ジャンルとしては「アートロック」に分類される。

アートロックはクリームやヴァニラファッジ、ヴェルベットアンダーグラウンドなどが代表とされるが「芸術志向のロック」と幅広い意味で捉えるとサイケやプログレはアートロックという大きなジャンルを細分化したものだと僕は認識している。

エスの最大の特徴である聖なる空気感と構成力を「Yesterday and today」「Sweetness」「Survival」などの曲で遺憾無く発揮し、カバー曲であるバーズの「I see you」、ビートルズの「Every Litlle Thing」、Buffalo Springfieldの「Everyday」では凄まじいアレンジ力を見せ、もうすでに一流バンドと言えるポテンシャルをデビュー時から見せている。1stはかなりオススメ。

時間と言葉

70年2nd「時間と言葉」は1stの延長線上にありながらオーケストラを導入。このオーケストラ導入に否定的だったギターのピーターバンクスが解雇される。イエスは特に「解雇」が多い、完璧主義者のジョンアンダーソンによるところだろうか。ピーターバングスのライブ映像は初期のTV出演の時のものなどで見ることができるが1人だけえらくノリノリで主張が強い。そうゆうのもバンドに馴染めなかったのかも。

代わりに入ったのが元サイケデリックロックバンド「Tommorow」のスティーブハウである。

f:id:kenjironius:20190413040515j:image

エスのギターと言えばスティーブハウであり、彼の変態的なギターあってこそのイエスなのだ。

プログレッシブロックYESの始まり

71年3rd「The Yes Album」では「Starship Trooper」や「I've Seen All Good People」といった組曲形式の曲を作り始め、共同プロデューサーとしてエディオフォードが加わり、「第6のメンバー」と呼ばれるほどに重要なスタジオワークをこなすようになり、ここからプログレッシブロックバンドYESが始まったとも言える。このアルバムの後今度は鍵盤のトニーケイが解雇されることになる。オルガンとピアノに固執し、当時最先端であったメロトロンやモーグシンセサイザーを受け入れなかったことが原因とされる。

代わりにストローブスのリックウェイクマンが加入し、イエスの黄金期とされるメンバーが揃う。

f:id:kenjironius:20190413042805j:image

(黄金期メンバー)

エス黄金期

f:id:kenjironius:20190413043331j:image

黄金期と呼ばれる時期に入るイエスは最近ではジョジョのアニメの主題歌に使われた「ラウンドアバウト」やヴィンセントギャロの映画「バッファロー66」の主題歌に使われた「ハートオブサンライズ」など極上のプログレソングを含む傑作4th「こわれもの(Fragile)」をリリース。

そして72年には彼らの最高傑作と言われる「危機(Close to the edge)」を完成させる。このアルバムは3曲のみで構成され、18分にもおよぶ大作であるタイトル曲「危機」はジョンアンダーソンの世界の完成とも言える作品だろう。

ジョンアンダーソンの美しく神秘的な歌、スティーブハウの変態的なギター、クリススクワイアのブリブリベース、ビルブラフォードのポリリズムを駆使したドラム、リックウェイクマンの多数の鍵盤を使った彩り溢れるプレイ、その全てが完璧に調和した「危機」はイギリスで最高4位、アメリカで3位と英米どちらでも大ヒットした。20分近い曲がこんだけヒットするんだから凄い時代だ。

危機のレコーディングを終えてビルブラフォードが脱退しキングクリムゾンへ加入する。これだけの大曲を完璧な仕上がりまで持っていくのはかなりのストレスらしく、ビルブラフォードによると「民主的な選挙をずっとやっているようで、何かあると毎回選挙活動を展開しないといけない。本当に恐ろしく、驚くほど不快で、信じられないくらいの重労働だった。」とのこと。イエスは世界一練習量の多いバンドとしても有名。

エスと同じく5大プログレバンドの1つであるキングクリムゾンに移籍するブラフォードだが、キングクリムゾンはこの後バンドとしてのピークを迎えることとなり2つのバンドのピーク時にドラムを叩いたブラフォードはプログレ最重要ドラマーであると言える。

代わりにジョンレノンの「プラスティックオノバンド」でドラムを叩いていたアラン・ホワイトが加入する。

f:id:kenjironius:20190413052116j:image

(あぁもう図が…)

黄金期を終えて

73年6th「海洋地形学の物語」では大作志向がさらにエスカレートし、LP2枚組で4曲、つまりレコードの1面につき20分の曲が1曲ずつというものになった。このいきすぎた方向性にリックウェイクマンが異を唱え脱退。代わりにレヒュジーのパトリックモラーツが加入し74年7th「リレイヤー」をリリース。

「危機」と同じくA面に20分ほどの曲を一曲、B面に10分ほどの曲を2曲というスタイルに戻った。

A面の組曲「錯乱の扉」の中の「Soon」という1つのパートを抜き取りシングルとしてもリリースしている。僕はベスト版でスーンを聞いた時に「なるほど、組曲の一部をシングルとして出すってアイデア斬新でいいじゃない!」って思ったのを覚えている。プログレとしては本末転倒だけどね。

その後ジョンアンダーソン、クリススクワイア、スティーブハウ、アランホワイト、パトリックモラーツの布陣で長期ツアーに入るが76年にアルバム制作に入るとパトリックモラーツが脱退、リックウェイクマンが再び加入した(リックウェイクマンは現在まで合計で5,6回脱退と復帰を繰り返す)。

(77年「究極」ここからしばらくジャケットヒプノシスに)

さぁこの先は冒頭でも言った通り僕の持病であんまり聞けてない時代に入ります。さらっと。

77年「究極」、78年「トーマト」をリリースした後79年にリックウェイクマンとなんとジョンアンダーソンが脱退してしまう。ボーカルとキーボードを失ったイエスは「ラジオスターの悲劇」でブレイクしたエレクトロデュオ「The Buggles」の2人、トレヴァーホーンとジェフダウンズを丸々吸収する(ラジオスターの悲劇、久しぶりに聞いたら名曲すぎる)。

f:id:kenjironius:20190413075939j:image

80年にクリススクワイア、スティーブハウ、アランホワイトにバグルスの2人を加えた5人で「ドラマ」をリリースした後83年までバンドは休止する。

休止中(80〜83)

あとちょっとだけ…

休止中(解散とも。)の出来事ですが、

クリススクワイアとアランホワイトがレッドツェッペリンジミー・ペイジとXYZ(ex.yes zeppelinの意)を結成するためセッションを始める。結局ツェッペリンのボーカルであるロバートプラントが参加するのを拒否したため、計画はポシャった。4曲のデモ音源が存在している。いつかリリースされないか待ってんだけど…

f:id:kenjironius:20190413071908j:image

クリススクワイアとアランホワイトがXYZに行ったことを「イエスを捨てた」と捉えたスティーブハウはプログレ界のスーパーグループ「Asia(エイジア)」を結成。

Asia

Asia

  • アーティスト:Asia
  • Geffen
Amazon

創設メンバーはスティーブハウとキングクリムゾンのジョンウェットン、ELPのカールパーマー、バグルスのジェフダウンズのスーパーな4人でエイジアはイエスのかつての売り上げを上回る大ヒットをする。僕が75年以降聞けない病になった大きな要因であり、「このすげぇメンツでどんな音楽やるんや!」とブックオフでCDを購入し興奮気味に再生ボタンを押した時の衝撃を忘れられない。ほんまにダサいと思う。まじで。まぁまぁまぁ落ちついて。

f:id:kenjironius:20190413075951j:image

再結成後のあれこれ

XYZがポシャってしまったクリススクワイアとアランホワイトは南アフリカマルチプレイヤートレヴァーラビンと共に「シネマ」という新バンドを結成しようとする。キーボードにイエス初代キーボードのトニーケイを呼びデモを作るがデモを聞いたジョンアンダーソンがシネマに加入することになり結局バンド名は「イエス」となる。

83年11th「ロンリーハート」をリリース。アルバムタイトル曲であるシングル「ロンリーハート」は多くの国で1位をとり、再結成は大成功を収める。だせぇだせぇ!

ここから珍しくメンバー交代のないまま5年間の活動を続けるが、88年にジョンアンダーソンが脱退、かつての黄金メンバーを集結させ「アンダーソン・ブラフォード・ウェイクマン・ハウ(ABWH)」を結成。ABWHは1枚アルバムを出すがライブでは当然往年のイエスの曲をやるわけ。そしてイエスはイエスでクリススクワイア達がやってるわけ。イエスの曲をやるバンドが2つ存在するめちゃくちゃなことに。

90年にはイエスとABWHが結局リユニオンとか言って合体して8人編成に。そっからブラフォードが抜けて……もういいか。

まぁそんな感じです。2015年にクリススクワイア死んでしまったけど、今現在もなんやかんやメンバー交代しながらやってます。

とりあえずイエスは「こわれもの」と「危機」の2枚を。もっと聞きたい人はデビューから「リレイヤー」までを聞いたらいいと思います!全盛期はめちゃくちゃかっこいいバンドなんだよほんと。

3章の図

f:id:kenjironius:20190413083117j:image

全体図

f:id:kenjironius:20190413083100j:image

Yes

  • ロック

music.apple.com

イエスをApple Musicで 

Listen on Apple Music

Try Apple Music