ケンジロニウスの再生

ロック史を追いながら関連図を作成(関連図挫折中)

7-2 ジェファーソン・エアプレイン〜サンフランシスコ発、宇宙行き〜

好みの判別

僕は別に全てのロックを聴きたいわけじゃないし、ロック博士になりたいわけではない。ただ〝良い音楽〟をたくさん聴きたいだけだ。

この〝良い〟というのはもちろん僕の主観であるので、言い換えると〝僕の好みの音楽〟をたくさん聴きたいわけだ。それを聴いて嬉しくなったり気持ちよくなったり感動したり、もう本当にただそれだけ。「好きな音楽が好きだ!」ってゆーほんとに「美味しいもん食べたい!」みたいな欲だけで聴いている。僕自身曲を作り演奏して歌うような活動をしてはいるが、僕は音楽を勉強や研究というようなつもりで聴いたことは無いに等しい。

 

人間に〝慣れる〟〝飽きる〟という特性がなければもう欲を満たすのに十分過ぎるほどの〝好みの音楽〟を所持していると思うんだけど、人間どうしても慣れと飽きが来てしまうもので…そんなわけで新たな〝好みの音楽〟を求めて欲深い僕はロックの歴史の中へ潜っていくわけだ。

僕ももう何年もロックを聴いてきて、だいたい自分の好みはわかってきた。それは時期で言えば60年代後半〜70年代前半であり、ジャンルで言えば、まぁこのブログでここまで書いてきたようなロックだ。そこら辺に狙いを定めてダイヴしていけば未知の〝好みの音楽〟は見つかるわけなんだけど、年代、ジャンルは絞れどもそこへダイヴしてからの〝好み〟の判別はとにかく手当たり次第聴くしかないわけで。そしてこの判別が難しいのね。

この時絶対やってはいけないのがベストアルバムで判別すること(ベストアルバム出せてるバンドなんて限られてるけどね)。1番わかりやすい例が一家に一枚あると言われているビートルズの「1」で、全米全英チャートで1位をとったシングル27曲で構成された超がつくほどのベストアルバムだが、このアルバムにはin my lifeもtommorow never knowsもa day in the lifeもstrawberryfieldsも入っていない。実家にあった「1」で最初にビートルズと出会っていた僕は後にオリジナルアルバム(特にラバーソウル以降)を聴いた時に「詐欺やん!危ないとこやで!」とひっくり返った。もちろんシングル曲が良くないわけじゃないけどね。

とにかくこのビートルズの時の「危なっ!」って感情が強く残っていて、〝好み〟かどうかを判別するにあたってベストアルバムを材料にしないようにしている。

では何で判別するかとなるととにかくやっぱり代表アルバムを聴くこと。あと僕は《1st至上主義》なところがあるので1stを聴く(アルバム2枚以上出せてるバンドも限られてるけどね)。

それで〝好みじゃない〟と判別してしまってCD棚に眠り続けてる音楽がたくさんあるんだけど、このブログを書くことでもう一度見直す機会ができたわけで、時間が経って僕の好みの幅が広がったのか若き僕のセンサーがバグっていたのかわからないが「え、良いじゃない」って音楽がたくさんあって、個人的再発掘ブームが到来しているのよね。

良い音楽を求めて底へ向かって何度もダイヴしていたけど、意外と自分の部屋にまだまだ好みの音楽が眠ってたんだなぁ、と。[このブログを書くために音楽を聴く]という行為は僕がしてきた純粋な音楽の楽しみ方とはズレていて何だか後ろめたいところはあるんだけど、この再発掘は儲けもんだ。

7-2 ジェファーソン・エアプレイン〜サンフランシスコ発、宇宙行き〜

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グレイトフルデッドと共にサンフランシスコの代表バンドであるジェファーソンエアプレインがまさに個人的再発掘の1組である。というかシスコサイケを書くならジェファーソンエアプレイン避けれないなぁ、と先週CDを引っ張り出して聴き直してたら「あれ、いいじゃない」となった。

ジェファーソンエアプレインはアメリカを代表するバンドの一つであるので出会ったのは当然早くて、まだ10代の頃だったと思う。それでなんとなくフィットせず超有名バンドでありながら深くは聞かぬままで、僕にとってロック史を紐解いて行く中で他バンドとの関連性などばかりが頭に入ってる、といった類のバンドであった(ザ・フーとかストーンズもそれに近いかも…)。

何故判別を見誤ってしまったのかと考えたんだけど、一般的にジェファーソンエアプレインを説明する《簡単なプロフィール》に問題があるんじゃないかと思う。

1.最初期のアメリカンロックを支えたバンドの一つでありサンフランシスコのサイケシーンの中心にいたバンド。

2.代表アルバムは67年2nd「Surrealistic Pillow」で、代表曲はこのアルバムに収録されている〝Somebody to Love〟。このアルバムとこの曲はサイケバンドジェファーソンエアプレインの代名詞とされている。

3.70年代半ばには〝ジェファーソンスターシップ〟と改名しハードロック路線へ、80年代にはさらに〝スターシップ〟と名を縮めてAOR、ポップス路線へ。

とまぁこの辺りが僕が出会い頭に耳に入った情報だったが、恐らく一般的にもそんなにズレてはいないと思う。

この情報を持って僕が手にしたのはやはりサイケの名盤とされる2nd「Surrealistic Pillow」。それと我が《1st至上主義》によって66年1st「Jefferson Airplane Takes Off」

この2枚によって若き日の僕の〝好み〟から選別漏れしてしまったわけなんだけど、まず1stはまだフォークロックと呼べる音楽であり、今よりもっとサイケへの熱が高かった10代のころの僕はとにかく「夜明けの口笛吹き」を求めていたので響かなかった。フォークロックにしてもバーズに比べるとヘヴィでブルース色も強い印象。

次に代表アルバム2nd「Surrealistic Pillow」だが、結論から言うと今聴くとやはり素晴らしいアルバム。ただ僕はとにかく代表曲〝Somebody to love〟がダメだった。この曲がアメリカンサイケの代名詞とされていることからアメリカンサイケ全体にも苦手意識を持つようになってしまったほど。

僕はよく「アメリカンロックに垣間見えるマッチョな面が苦手だ」と、アメリカンロックを《マッチョ》という表現で敬遠することがあるんだけれど、思い返せば僕がそれを言いだした発端は〝Somebody to love〟だったかもしれない。

それで先入観というのは怖いものでバンドの代表曲とされる〝Somebody to love〟を中心と捉えてアルバム「Surrealistic Pillow」を聴いてしまうんだな。それでアルバム全体にも苦手意識が広がってジェファーソンエアプレインは〝好みじゃない〟となってしまったわけだ。

それに加えて改名しながらハードロック、AORへと産業化していく様にも良い印象がなかったんだけど、今回再びジェファーソンエアプレインと向き合ってみて僕が持つ悪い印象のほとんどが勘違いによるものであったことに気づかされたのだ。

てなわけで来歴をさらいながらシスコサイケの重要バンドJefferson Airplaneを!

ジェファーソンエアプレイン離陸!

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64年にアメリカを襲ったビートルズ旋風《ブリティッシュインヴェイジョン》の影響を受け、サンフランシスコのフォーク界隈にいたポール・カントナと62年にR&R/ポップス歌手としてすでにシングルデビューしていたマーティ・バリンを中心に65年にジェファーソンエアプレインを結成。

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同じ時期に《ブリティッシュインヴェイジョン》の影響下で続々と結成されたサンフランシスコのバンドの中ではいち早くメジャー契約を結び、注目の的となった。

66年に「Jefferson Airplane Takes Off」でデビュー。このデビュー作はフォークロックに分類されるが、ブルース系リードギタリストのヨーマ・カウコネンが持ち込むブルース要素も強く、さらにR&BやR&Rをも混ぜ込まれたフォークロックである。

この時期は完全にマーティ・バリンがリーダーシップを発揮しており、ほとんどの曲を作曲しリードボーカルをとっている(僕はポール・カントナーこそがエアプレインの核だと思ってる)が、ジェファーソンエアプレインの代名詞となる男女3声ハーモニーの形はバリン、カントナーと女性ボーカルのシグネ・トリー・アンダーソンとですでに出来上がっている。

テイクス・オフ

テイクス・オフ

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この1stでドラムを叩いているのがアレクサンダー・スキップ・スペンスで、元々ギタリストであった彼はこの1stで脱退してギタリストとしてモビー・グレープを結成する。

モビーグレープは日本の「はっぴーえんど」に影響を与えた事でも有名なサンフランシスコのロックバンドである。メンバー全員がフォーク畑出身であり作曲と歌を担当できることから、そこまでサイケニュアンスは強くないが素晴らしいハーモニーとメロディを持ったサイケ/フォークロックバンドだ。67年1stMoby Grape」は名盤。

モビー・グレープ

モビー・グレープ

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スキップスペンスはグレイトフルデッド、ジェファーソンエアプレインと並んで3大シスコサイケバンドと呼ばれるQuicksilver Messenger Serviceで極々初期にギターを弾いていたり(音源もないが)でサンフランシスコの重要人物であるが、かなりのジャンキーとしても有名。68年2ndアルバムリリース後、LSDの過剰摂取による統合失調症で入院することになりそのまま脱退(斧を振り回して暴れ回ったらしい)。

退院後の69年にソロアルバムOarをリリース。

Oar [12 inch Analog]

Oar [12 inch Analog]

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これがまた素晴らしいアシッドフォークでオススメ。個人的にはアメリカのシドバレット(いや、トゥインクかも…)と思っている。

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さてエアプレイン。スキップスペンスの代わりにスペンサー・ドライデンが加入(なんとこの男喜劇王チャップリンの甥)。このタイミングで女性ボーカルもシグネ・トリー・アンダーソンからグレース・スリックに代わり、代表作となる2nd「Surrealistic Pillow」を作り上げる。

代表作「Surrealistic Pillow(シュールリアリスティック・ピロー)」

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ブリティッシュフォークロックの代表バンド、フェアポートコンベンションは初期の頃《イギリスのジェファーソンエアプレイン》と呼ばれていた。ということは前に書いたが、2ndから歌姫サンディデニーが加入するフェアポートと同じくエアプレインも2ndから歌姫グレーススリックが加入する。

ここからが黄金期メンバーと言える布陣となりマーティ・バリン(ギターボーカル)、ポール・カントナー(ギターボーカル)、ヨーマ・カウコネン(リードギター)、ジャック・キャサディ(ベース)、スペンサー・ドライデン(ドラム)、グレース・スリック(ボーカル)の6人の編成で67年2nd「Surrealistic Pillow」〜69年5th「Volunteers」までのロック全盛期を駆け抜ける。

さて代表アルバムとされる2nd「シュールリアリスティックピロー」だが、まず僕がマッチョで苦手だと言ったバンドの代表曲〝Somebody to love〟について。

2ndアルバムの2曲目に収録されたこの曲によって苦手意識を植え付けられたんだけど、一つ大事な情報が抜け落ちていたことをこの度知る事ができた。新たな女性ボーカルとして加入し、以降ジェファーソンエアプレインの顔となり女性ロックボーカルの草分け的存在となるグレース・スリックだが、このアルバムでリードボーカルをとっているのは〝Somebody to love〟と〝White Rabbit〟の2曲のみである。スリックは元々グレート・ソサエティというバンドのメンバーであり、そこから引き抜かれる形でエアプレインに加入したのだが、スリックが歌った〝Somebody to love〟と〝White Rabbit〟の2曲は元々グレート・ソサエティで既にレパートリーとしていた曲であるというのだ。これを知らなかった。ちなみに〝White Rabbit〟もエアプレインの代表曲に挙げられることが多く、しばしば代表曲として紹介されるこの2曲は元々他バンドの曲であったというのだ。

〝Somebody to love〟はグレート・ソサエティのメンバーであるスリックの義理の弟のダービー・スリックによって書かれた曲であるのだ。これで僕とエアプレインの長年のわだかまりが解けた。僕が苦手なのはダービー・スリックだったのだ(すまん!)!

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〝White Rabbit〟の方はグレース・スリックが書いた曲であり、不思議の国のアリスをテーマにしたこの曲はドアーズの〝The End〟やヴェルベッツの〝ヘロイン〟のように地べたに這いつくばりながら静かに燃え上がっていくようなサイケデリックソングだが、長尺な〝The End〟と〝ヘロイン〟とは違い2分30秒とコンパクトな燃え上がり方を見せる。実はこの曲は好きなのよね。

とにかく〝Somebody to love 〟の真相がわかってようやくこの2nd「シュールリアリスティックピロー」とちゃんと向き合えるようになったわけだが、全体的にはまだマーティ・バリンに主導権があるようだ。マーティ・バリンは非常に特徴的なハイトーンボイスの持ち主で、曲によるが(4曲目の〝Today〟なんかは最高)これまたマッチョで苦手な部類だ。何と言えばいいか、ハードロックのボーカル的な感じといえばわかりやすいかな…?実は女性であるがグリース・スリックも同じ系統の声の持ち主である。ただグレース・スリックの歌声は徐々に変化していくのでこの時期わざとハードな声を作っていたんじゃないかと思う。同時期のサンフランシスコにはBig Brother and the Holding Companyジャニス・ジョプリンもいるしハードなボーカルというのは流行りだったのかもしれない。

3曲目の〝My Best Friend〟が素晴らしきハーモニーのアシッドフォークであるんだけどこの曲は既に脱退しているスキップスペンスの作曲である。ソフトサイケチックでもあるこの曲が1番好きかも。シャッフルとイーブンを行ったり来たりするのって好きなのよね!

このアルバムではグレイトフルデッドヒゲ魔神ジェリーガルシアが《スピリチュアルアドバイザー》という謎の肩書きでクレジットされており、ギターもいくらか弾いている。サンフランシスコの横の繋がりは強くて、色んなところで色んな名前が飛び交うので面白い。

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ポール・カントナーの作曲はバリンとの共作〝Today〟を除くと7曲目〝D.C.B.A.–25〟のみであるがこれも好きな感じの曲だ。カントナーは生粋のフォーキーであるが、同じサンフランシスコのフォーク界隈に居たデヴィッドクロスビーやジェリーガルシアらと同様この60年代後半に革新的なアイデアを持ってサイケデリックの道を切り開いていく。そのカントナーがまだバンドの主導権を握っていないこのアルバムは実はエアプレインのサイケの真骨頂とは言えないのだ。その真骨頂はカントナーが徐々に主導権を握り始める同年次作3rd「After Bathing at Baxter's 」と68年4th「Crown of Creation」であると言えるだろう。1stと2ndで〝好みじゃない〟と判断してこれを聞き逃していたのだ!危ない!!!

サイケ全盛期エアプレイン

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3rd,4thこそがサイケ全盛期だった!なんて言っても僕がそれに気づいたのは恥ずかしながら先週先々週くらいの話なので、正直語れることはないのよね。CDを買ってからですね。

ただ今はサブスクという便利なものがありまして、Apple Musicでここ数日聴きまくってたんだけど、感想を少し。

67年3rd「After Bathing at Baxter's」はバリンからカントナーに主導権が移り、曲の大半をカントナーが書くようになったこともありかなり実験的なサイケデリックなアルバムになっている。バリンは天性のハイトーンボイスを武器にボーカリストとして活躍、前作ではリードボーカル2曲のみであったスリックも出番が増え強い存在感を見せ、カウコネンのブルースギターも上手く溶け合っていてカントナーの指揮の元それぞれの個性を上手く打ち出せていてバンドとしての成熟が見られる。

そしてエアプレインの最高傑作は68年4th「Crown of Creation」じゃないかと思う。

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バンドのピークはこのアルバムだと僕は思う。なんたって邦題が「創造の極地」だからね。

まず1曲目グレース・スリック作の〝Lather〟。おいスリックそんな声出せたんかい、って感じの可愛い声色でフォークを歌う。僕はギターの音色を試行錯誤して作るのと同じように声も作るべきだと思っていて、ディランやニールヤングの特徴的な声もわざと作った声だしね。このアルバムでのスリックの歌声は明らかに作った声であり、今までの力強さだけではなく繊細さを持った声で曲に彩りを与えている。

3曲目の〝Triad〟はデヴィッドクロスビーの曲であり、デヴィッドクロスビーもギターで参加している。

全体的にスローテンポな曲で構成されたアルバムであるがサイケの真髄の詰まったアルバム。アメリカンサイケというのは〝サイケ精神〟ばかりが前に出て「酩酊してブルースギター弾けばサイケ」みたいなのが目立ちがちなとこがあると思ってるんだけどこのアルバムはブリティッシュサイケに見られる〝実験性〟の極地に迫る作品である(予感がする)。

Crown of Creation -Hq- [Analog]

Crown of Creation -Hq- [Analog]

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とにかく2nd「シュールリアリスティックピロー」と〝Somebody to love〟がジェファーソンエアプレインの代表作だという情報に騙された僕みたいな人って少なからず存在すると思うんだよね。

でも「ポールカントナーがジェファーソンエアプレインの核だ!」ってのも割と一般的な見解で、それならばもっと3rdと4thが推されるべきだって思うんだよ。危ないぜ全く!

末期、エアプレイン墜落

ジェファーソンエアプレインは69年ウッドストックフェスティバルに出演。

世間はウッドストックをピークにサイケブームも落ち着きだすんだけど、69年5th「Volunteers」でその兆候が見られ、ジェファーソンエアプレインも同じようにカントリーやブルースに回帰していくような流れとなる。

ギターのヨーマカウコネンとベースのジャックキャサディはエアプレインと並行してよりブルースロック、カントリーロックを軸としたバンドHot Tunaを結成し活動を始める。

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Trilogy

Trilogy

  • アーティスト:Hot Tuna
  • Floating World
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ポールカントナーは西海岸のミュージシャン達とのPlanet Earth Rock and Roll Orchestraと名付けられたセッションを始め、70年にPaul Kantner and Jefferson Starship(ここでスターシップの概念登場)としてアルバム「Blows Against the Empire」をリリース(これ聞いてない)。このPlanet Earth Rock and Roll Orchestraのメンバーというのはカントナー、スリック、カウコネン、キャサディのエアプレインのメンバーとジェリーガルシアを始めとしたグレイトフルデッドの面々、さらにデヴィッドクロスビー、グラハムナッシュ、Quicksilver Messenger Serviceのデヴィッドフライバーグといったすごいメンツであった。

このメンツが関わった代表作としてデヴィッドクロスビーの71年ソロアルバム「If I Could Only Remember My Name」がある(これは好き)。

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このセッションの延長としてカントナーはPaul Kantner and Jefferson Starshipのプロジェクトを発展させ、73年までにグレース・スリックのソロアルバムを含むいくつかの作品を作る。

こうしてエアプレイン外での活動が広がって行く中でマーティバリン、スペンサードライデンが脱退。

71年に6th「Bark」、72年に7th「Long John Silver」をリリースし(未聴)、ツアーを終えた後解散となる。このツアーにはクイックシルバーメッセンジャーサービスを脱退したデヴィッドフライバーグがボーカルとして正式メンバーとして参加している。

宇宙船ジェファーソンスターシップ

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74年にジェファーソンスターシップがデビューとなるが、これがエアプレインの改名バンドというより、カントナーがエアプレインと並行して行っていたソロプロジェクトであったPaul Kantner and Jefferson Starshipの延長線上にあるバンドであるという認識が正しいよう。これが勘違いしていた点。

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とはいえジェファーソンスターシップのメンバーはカントナー、スリック、フライバーグらエアプレインの解散時メンバーでほぼ構成されていて、さらにマーティバリンも舞い戻ってくるわけなんだけどね。

ジェファーソンスターシップは時代的にもストレートでハードな音楽へとなっていくので完全に僕の好み外である。ので全く知らない。

84年にカントナーが脱退して〝ジェファーソン〟の名前を使うなと言われ〝スターシップ〟に縮まるというアメリカならではの虚しい裁判。この経緯も単に改名したというよりその前に全盛期であったMTV路線のスターシップとロック路線のカントナーで分裂していて『スターシップ』もまたジェファーソンスターシップとは全く別のバンドと言えるみたい。よくわからん…

しかし個人的には『スターシップ』とジェファーソンエアプレインが全く別の流れにあるバンドであると理解できたことで、スターシップの87年代表曲〝Nothing's Gonna Stop Us Now(愛はとまらない)〟(これは日本でも鬼のように売れたので誰もが聞いたことあるはず)を普通に良い曲だなぁと聞けるようになった。昔は「ロックバンドが何やってんだよ!」って思ってたけど、スターシップはそもそもロックバンドじゃなかったんだな。

まとめ

まぁ何が言いたいかというとジェファーソンエアプレイン、ジェファーソンスターシップ、スターシップはそれぞれ全く別のバンドとして捉えるべきだということ。

なのでジェファーソンスターシップがいかにハードロックでスターシップがいかに産業的であったとしてもジェファーソンエアプレインが最高のサイケデリアを持ったヒッピーバンドであったことに変わりないということ。

あとはエアプレインの真髄は〝Somebody to love〟では決して無くて、3rd,4thにあるということ!

以上!ほんとに先週先々週に個人的再発掘して、大して思い入れもないのに何故こんなに長々と書いてしまったのか、疲れた。

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