ケンジロニウスの再生

ロック史を追いながら関連図を作成(関連図挫折中)

10-1 変幻自在のカメレオンボウイ(第60話)

バトンを渡せなかった〝再発掘/再評価組〟

9章は《その他のUSサイケ》ということで7章《シスコサイケ》、8章《LAサイケ》に続いてUSサイケを見てきました。そんな中、まぁ4章《UKサイケ》にも5章《ブリティッシュフォーク》にも6章《ソフトロック》にも言えることだけど〝再発掘/再評価組〟と呼ばれる部類のバンドやミュージシャンもいくつかは登場したかと思います。

 

このブログは《図を用いてロック史を辿ろう》をテーマにやってきたが、〝再発掘/再評価組〟と呼ばれるバンドは【ロック史】という観点においてはさほど重要とは言えないのが正直なところだ。

〝再発掘/再評価組〟とはリリース当時はほとんど話題にならず、なのでフォロワーがおらず歴史に埋もれてしまった、そんな音楽が近年発掘され再評価されたものである。もちろん埋もれていた本当に素晴らしい音楽や新しい発想がたくさん発掘されており、それらを受けとった21世紀のロッカーが新たなロック史を作っていくとすれば50年後、100年後から見た【ロック史】では〝再発掘/再評価組〟も重要な歴史の一部となっていることだろう。

しかし60年代から70年代、80年代へと先人が編み出したアイデアを受け継ぎながら様々なものを吸収し形を変え今に至るロックという音楽の歴史においては〝再発掘/再評価組〟は〝バトンを渡せなかった者達〟だと言えるだろう。多様に枝分かれしていったロックだが、そのどこかの枝の先端、先に続いていかなかった枝が〝再発掘/再評価組〟(だからこそ唯一無二の音楽性を持っていたりして新しく、面白いのが再発掘組だったりする)

 

んなわけでこの《図を用いてロック史を辿ろうブログ》では〝再発掘組〟や少しマニアックな連中は中々図に絡めるのは難しかったりするわけで、正直月額600円払ってる図のアプリを持て余してる感が強くて。その反面《ロック史》を辿る上で避けては通れない超重要ミュージシャンは情報量多すぎるし図が広がりすぎるし疲れそうなので避けてきたわけで(5大プログレビーチボーイズ辺りは頑張った)。しかし月額600円、ちゃんと有効利用しようかってことで超重要ミュージシャンに少し踏みこもうかと。

とはいえやはり今作ってる途中の〝ロック全体図〟に超重要ミュージシャンの膨大な繋がりを書き加えていくには無理があるので超重要枠は特別に〝専門図〟的な感じで新たな別の図で書いてみようかと。図は何個でも作れるんだから、月額600円払ってるんだし。月額600円

 

てなわけで10章からは超重要ミュージシャンを軸に進めて行こうかなぁなんて思ってますが、もちろん〝ロック全体図〟計画は諦めたわけではなく、まだまだ紹介したいサイケ勢やプログレ勢やUKフォークもソフトロックもございますのでそっちはそっちでまたどしどし追加していく次第でございます。

 

さぁ誰から始めようか、ビートルズストーンズ、ディラン、どれをいっても茨の道だがひとまず10章は変幻自在のロックスターに決めました。デヴィッド・ボウイに。

 

10-1 変幻自在のカメレオンボウイ(第60話)

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僕が〝ファン〟だと言えるのはジョンレノンボブディランシドバレットだって話は以前した。好きなミュージシャンは山ほどいるが、僕は〝ファン〟というのをその人の音楽に関係ない〝グッズ〟が欲しいかどうかだと定義付け、それならばジョンとディランとシドの下敷きやクリアファイルは欲しいかも、と思ったからだ。

しかし言葉を変えて〝スター〟って誰?と聞かれると即答でデヴィッド・ボウイと答える(次点で言うとプレスリーになるんだろうか)。曖昧で感覚的な表現だが僕にとってボウイはそういう存在だ。

 

本名はDavid Robert Haywood Jones、1947年1月8日イギリスロンドン生まれ。ディヴィ・ジョーンズとしてデビューしたのが64年。デヴィッド・ボウイとしてのデビューアルバムDavid Bowieが67年。そこから2016年の69歳の誕生日にリリースした「★ (Blackstar) 」まで28枚のスタジオアルバムを残し、その「★ (Blackstar) 」リリースの2日後の2016年1月10日に肝癌により死去。

彼の音楽性は〝カメレオン・ボウイ〟と称されるほど時代によって多種多様であるが、正直僕も全てのアルバムを網羅したわけではない。やはり〝世界的カルトスター(矛盾ワード)〟から〝世界的ポップスター〟へと躍進するきっかけとなったボウイ最大のヒットアルバム83年「Let's Dance」以前のボウイに偏ってはしまう。

 

ボウイとの出会い

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僕がボウイと出会ったのは15年ほど前、ロックに目覚めたころ、2005年ごろ。ボウイは2003年に「Reality」をリリースしてからしばらく隠居生活に入るので、僕が出会った時にはすでに〝過去のスター〟であった。

まず手にしたのはやっぱり72年5th「ジギー・スターダスト」。あらゆるロック誌に大名盤として紹介されており、僕のバイブルとなった〝年代別名盤100枚〟にもピンクフロイド「狂気」クイーン「オペラ座の夜」と並んで70年代を代表するアルバムとして大々的に紹介されていた。

僕はジャパニーズロックに興味がなかったわけではもちろんなくて、ギターを手にした中学の頃というのはゴイステモンパチガガガSPなんかの青春パンクが流行しており、一方で一世代前ではあるがGLAYL'Arc-en-Cielなんかの90年代ビジュアル系も流行っていた。僕が初めて人前で演奏したのはGLAYコピーバンドでのベースであった。洋楽ではグリーンデイオフスプリングMr.Bigなんかをちらほら聴いてる奴もいた気がする。オアシスもあったかな。メロコアブームは確かにあって、僕はラジオシュガーカルトアメリカンHi-Fiなんかを知りCDを買った記憶がある。

中学のころはエレキギターが鳴ってりゃロックだと思っていて、高校に入りやっとロック史に出会い没頭していくわけだが、邦楽の方ではイエローモンキーブランキージェットシティに熱中することになる(イエモンブランキーもすでに解散していたと思うが)。

イエモンブランキーにお熱になり、〝年代別名盤100枚〟が紹介された音楽誌でロックを漁っていた僕にとってイエモンが崇拝するデヴィッド・ボウイブランキーが崇拝するストレイ・キャッツは出会いたてのロックの中でも身近な存在となった。

 

そんなわけでデヴィッドボウイとの出会いはわりかしスムーズで距離感はそこまで感じなかったが、それでも最初に手にした「ジギースターダスト」は衝撃的であった。グラムロックの傑作という前情報であったがそこにあったのは壮大なロックオペラ《アートロック》だった。今思えばそれまで音楽を〝物語〟として捉えたこともなければ、〝芸術〟として捉えたこともなかったかもしれない。〝クール〟か〝クールじゃないか〟それくらいにしか感じてなかったように思う。「ジギースターダスト」ビートルズ「サージェント」ピンクフロイド「狂気」と共に《ロック》というものの可能性を若き僕に教えてくれた大事な1枚である。

 

当時の僕のCD仕入れ先はもっぱらBOOKOFFで、「ジギースターダスト」はどうしても買わなければならなかったので普通の中古コーナーから1000円ほどで買ったが、普段はとにかく250円コーナーでひたすら屈伸運動を繰り返していた。「ジギースターダスト」にハマった僕はボウイの他のアルバムを欲していたが、70年代の作品は確実に1000円を超えていて手が出なかった。他にも買わなければならないアルバムもたくさんあったし。そんな中、どこのBOOKOFFに行っても250円コーナーに数枚あったボウイのアルバムが95年18th「アウトサイド」と97年19th「アースリング」である。

もちろん購入したわけなんだけど、意味不明の理解不能でショックを受けたのを覚えている。今となればボウイのやりたい事もわかるし肯定できるとこもたくさんあるが、この当時のトラウマで苦手意識が拭い去れないのが正直なとこ。現にこの2枚は未だに実家に置き去りにされている。ボウイ以外のアルバムも90年代のアルバムは割と安くて、ストーンズピンクフロイドジェネシスなどの90年代のアルバムもこの時期に250円で購入したがあまり馴染まず、もうこの時期から僕の《60's,70's至上主義》は形成されていってたのかもしれない。

その後しばらくしてからBOOKOFF時代からヤフオク時代に突入し、70年代ボウイ作品とベストアルバムを手に入れボウイの歩みと偉大さを認識するわけだ。それからゆっくりとライブ音源、ライブDVD、様々なコラボレーションや彼のプロデュース作品、出演映画なんかにも出会い今に至る。数年前に東京であった『デヴィッドボウイ展』にも足を運んだ。

なわけで全ロッカーの中でも割と思い入れがあるほうではあるが、僕は〝Space Oddity〟に感動し、グラムロック時代にシビれ、ソウル時代の変化に驚き、《ベルリン3部作》に圧倒され、「Let's Dance」以降のポップ路線に落胆し、90年代に困惑して、2010年代の最期の灯火に感動する、という超ベタベタなボウイリスナーである。

 

ボウイ図

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さて、10章はボウイ図の作成に決めたわけなんだけど、第1回は個人的なボウイとの馴れ初めみたいな話になってしまったので次回からコツコツ図を作成していこうかと。

一応縦軸を時間軸にして上から時系列順に作れたらなぁなんて思ってますが明確なやり方はまだ全く考えれてません。ただここにきて写真を貼っつける方法を知ったのでそれも使いつつ。

 

全体図の方でも一応ボウイは登場してます。

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が、何故か69年2nd「Space Oddity」にメロトロンとチェンバロで参加したリック・ウェイクマンしか繋がってません。フリップもイーノもイギーもルーリードも繋がってないのです。

なので全体図の方も気にかけつつ次回からボウイ図を制作していけたらと。

 

書くとなるとアルバムを聴き込むことになるわけで、実はそれが楽しみだったりするのね。言っても「ジギースターダスト」を最後にしっかり丸々聴いたのって何年前だっけって感じだったりするから。

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