R&R(ロックンロール)について考える
ブルースにひき続きR&R(ロックンロール)について。
大前提として僕はロックとロックンロールは別物と考えている。少しロックに造詣の深い人は皆そうだと思うが。
年代で言えばR&Rは50年代アメリカの音楽で、50年代半ばに盛り上がり50年代末には失速した非常に短命なジャンルである。50年代末にスキャンダルや徴兵や飛行機事故によって主要R&Rミュージシャンが次々と舞台を降りたことが大きな要因であるが、どちらにせよ60年代頭のロックの誕生によって取って代わられる運命だったろう。
音楽的にはブルースやR&Bら黒人音楽を母体にカントリー等の白人音楽をブレンドして出来上がったものであるが、簡単に言うと「速い8ビートのブルース」。
言葉的に言えばR&Rはその名の通り「転がる(roll)」イメージ、ビートに乗って前進していくイメージ。ロックは特に60年代半ばから内向的な面が強くなり始め、前進するというよりは深く潜るイメージを個人的には持っている。ニュアンス的に「ロール」しないことは僕の好きなロックにおいて重要なポイントになっているかもしれない。ま、ビートの話か。
起源的にはR&Rは白人ミュージシャンが多いがかなり黒人音楽色が強い。ロックもブルース、R&B、R&Rをルーツに持つものの、ロックは明らかにイギリスで生まれた白人音楽である。これは正直突然変異的に生まれたとしか言いようがない。
ブラックミュージックについて考える
ブルース、ゴスペル、ソウル、R&B、ジャズ、ファンクなどなどブラック・ミュージック(黒人音楽)がポピュラーミュージックに与えた影響力は計り知れない。去年2020年にローリングストーン誌が選ぶ「歴代最高のアルバム500枚」が改訂され、つい先日には「歴代最高の500曲」の改訂版が公開された。
以前に比べて明らかにブラック・ミュージックの評価が爆上がりしており、そのことに別に文句をつけるつもりもない。ポピュラーミュージックにおけるブラックミュージックの貢献というのは計り知れないものがあるのは事実だからだ。
ただ《ロック》におけるブラックミュージック崇拝、ルーツ崇拝に関してはやはり眉をひそめてしまうのだ。
僕はブラックミュージックというのは極論ダンスミュージックだと思っている。ノリのいいビートやリフ、コール・アンド・レスポンス、踊りのための音楽。というか音楽というのは過去を遡ってもほとんどがダンスのためのものであり、それは今も変わらない。ダンスと音楽は切っても切れない関係だ。ただロックは違った。そして僕はそこにどうしようもなく惹かれてしまったのかもしれない(ダンスミュージックじゃない音楽は他にもあるが)。
「R&Rはダンスミュージックで、ロックは違う」。これが個人的にはR&Rとロックの違いを説明する1番簡単な文になる。繰り返しになるが、転がらないのがロックなのだ。
シチュエーションと音楽
んなわけでブラックミュージック全般をあまり聴いてきてないわけです。それは僕にダンス気質が備わっていないことや、音楽は1人で聴くのが1番だと思っている内気さも関係しているのだろう。音楽を1番聴く場所はもちろん部屋で、そこでブラックミュージックが鳴っているイメージはどうしても湧かないのだ。
しかし部屋以外でも音楽は聴くわけで、歩きながら、電車に乗りながら、バイクに乗りながら、車に乗りながら。僕の好きなアートロックやサイケやプログレってのはそんな部屋以外の環境に劇的にミスマッチな音楽だったりする。なので外では割と70's後半以降だったりブラックミュージックも聴いたりするわけで。歩きや電車ならフォークやカントリーが合うし、バイクならハードロックやパンクやR&Rも良いだろう。車はウエストコーストや80'sポップス。ソフトロックはどんな場面でも合うからすごいよね。あとライブハウスはR&Rが本当に合う。よく精神論的にロックが語られることがあるが、実は精神論的要素が強いのはR&Rの方だと思う。そのR&R精神を強く持った60's以降のロックバンドは結構多く、音楽的にはR&Rを演ってなくても「ロケンロー!」と叫んだりするわけだ。
僕の中のロックンロール
さて、R&RはBGM程度にしか聴かないわけだが、それでも僕の中に宿るR&R(的要素)を整理してみようと思う。
まず50'sR&Rミュージシャンは有名どころのベスト盤を持っている程度。エルヴィス・プレスリー、エディ・コクラン、チャック・ベリー、リトル・リチャード、バディ・ホリー。この辺は〝サマータイムブルース〟や〝カモン・エブリバディ〟や〝ロールオーバー・ベートーベン〟や〝ジョニー・B.グッド〟〝ロング・トール・サリー〟などビートルズやザ・フーら60's以降のロックバンドによるカバーから遡る形で興味を持って10代の頃聴きだした感じ。この中で1番思い入れがあるのはエディ・コクランかな。今考えると多分1番白っぽかったからなんだろう。
初期ビートルズはカバーも含めてR&R色が強くて、僕が触れたR&Rはそこがほとんどなのかもしれない。
ビートルズらロック第一世代は50'sに10代を過ごしてるわけで、R&Rは彼らの血肉となっているのは確か。だからデビュー時のR&R色の濃さは当然だと受け入れられる。しかしそこから革新的な新時代のロックソングを書き始め『ラバーソウル』『リバルバー』『サージェントペパーズ』を経た後の『ホワイト・アルバム』での〝Back in the USSR〟や〝バースデイ〟は正直サムい。
『ホワイトアルバム』はめちゃくちゃ好きなアルバムなんだけど、正直この2曲は〝ワイルドハニーパイ〟よりも駄曲だと思う(どっちも1曲目なんだけどね)。この2曲は言わば《ハード・ロックンロール》と呼ぶべきものであり、それならばやはりレッドツェッペリンの〝ロックンロール〟の方がクールだ。
1番好きなロックンロールを考えてみると、ビーチ・ボーイズの〝Fun Fun Fun〟になるかもしれない。正確には《サーフィン/ホットロッド》になるんだろうが。ロックンロールにハーモニーを足した革新的名曲だろう。
ローリングストーンズの〝ブラウンシュガー〟や〝ストリートファイティングマン〟なんかは遅いR&Rだ。
正直僕の中でストーンズはブルースというよりも《スローロックンロール》のイメージ。速いブルースがR&Rで、それを遅くしたのがストーンズだけど、何故かブルースとは違う新たなものが出来上がったのは凄い。けど好みではない。
遅いR&Rならマーク・ボラン率いるT-REXのブギーの方が魅力的だ。
下手したらバブルガムポップにも取られそうなんだけど、グラマラスでキラキラしたギターとボランの怪鳥ボイスが個性的で飽きないんだよな。
あとストレイ・キャッツやロカッツ等80年代の《ネオ・ロカビリー》には割とハマった。革ジャンリーゼント、僕の思い浮かべるR&R像はエルヴィスよりもブライアン・セッツァーなのかも。
R&Rとロカビリーの違いを正確には把握してないが、僕はイーブンなのがR&Rでシャッフルなのがロカビリーだと認識している。ロカビリーの方がカントリー色が強くて白っぽいとか色々あるみたいだけど。
ストレイキャッツのイメージからボーリングやビリヤードとかもR&Rに合うイメージがついてるなぁ。
R&Rにある「古き良きアメリカ」なイメージは割と好きで、USJ等テーマパークのショウでのR&Rはやっぱりテンション上がるよね。結局その精神性や文化的に美的なものであるとは思うけど、決して普遍的ではないし側に置けるものでもない。クラッシク・カーやクラッシク・バイクだとかの美学と似たようなものか。僕は懐古主義的なところは確かにありクラシカルな造形の物を好む性質を持っている。僕の中に少なからずあるR&R愛はそんな懐古主義によるものだろう。しかし僕の60's70'sロック愛は決して懐古主義によるものではない、ということは強く主張したい!あれは普遍的な作品群なのだ!
まぁR&Rは美的で憧れるけれど人生に寄り添ってはくれない、僕にとってはそんな音楽です。
以上!次はハードロックでも!