ケンジロニウスの再生

ロック史を追いながら関連図を作成

HR(ハードロック)について考える

僕はハードロックをほぼほぼ聴かないわけだが、最初からそうだったわけでは決してない。

僕がギターに興味を持ち出した中学のころ(2003年ごろ?)、周りの仲間達の音楽の趣味は2極化していた。邦楽だと〈90年代ヴィジュアル系(XやGLAYラルク等)or当時全盛を迎えていた青春パンク(ゴイステやガガガSP等)〉、洋楽だと〈ハードロックorポップパンク(グリーンデイ等)〉、ギターで言うと〈速弾きorパワーコード〉といったところだろうか。なぜこの2極化だったのかはよくわからないが、地域性というわけでもないはず。同年代なら共感してくれるのではないだろうか。

かなり大雑把に分けると〈ハードロックorパンク〉だったわけで、この2つの間には大きな溝があると当時は感じていた。しかし数年経ち『サージェント』や『狂気』や『ジギー・スターダスト』に打ちのめされた頃にはハードロックもパンクも同じ引き出しに放り込まれることとなった。激しい音楽という引き出しだ。

若き日の僕はどちらかというとハードロック派、つまり90年代ヴィジュアル系派であり速弾き系派だったわけで、僕にとってのハードロックは中学〜高校にかけて聴いたもので完結してしまっているところがある。

恐らく最初に聴いたハードロックはMR.BIGだった。

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MR.BIGは時代遅れハードロックな印象があるので2003年当時タイムリーだったのかと思い調べてみたら違ったよう(89年デビューで2002年には解散していた)。中学の頃聴いていた音楽はほぼ全てが兄の影響下にあり、MR.BIGもそうだった。〝To Be With You〟のアコギとコーラスを自室で練習する兄に、母が台所から音程のズレを指摘する、我が家の些細な思い出の一つだ。

やはりよく聴いたのは2nd『Lean Into It』と3rd『Bump Ahead』で、兄が2ndの楽譜を持っていたので盗み見ては〝Green-Tinted Sixties Mind〟のイントロのタッピングメロを練習したものだ。高校に入ると別の中学のポール・ギルバート信者と出会い、そいつと〝Daddy, Brother, Lover, Little Boy〟をカバーしたのも思い出す(全くできてなかったろうな)。

そのギルバート信者の信者っぷりはなかなかのもので、もちろんあのピック装着ドリルも持っていたし高校卒業後はポールギルバートが校長を務める音楽専門学校〈MI JAPAN〉に進学した(はず)。

とにかくキャッチーなメロと速弾き、それにしか価値を見出せなかった頃の僕にとってMR.BIGは打ってつけのバンドだったといえるだろう。

そして同じくキャッチーなメロと速弾きの塊であるヴァン・ヘイレンにも夢中になった。PV集VHSは擦り切れるほど観た。当時はそこまで考えもしなかったが、MR.BIGは実にヴァン・ヘイレン的なハードロックバンドだ。〝Colorado Bulldog〟なんて完全に〝Hot For Teacher〟だもんな。

エディは間違いなく最初に出会ったギターヒーローで、それは今も変わらない。あの笑顔の膝スライディングにノックアウトさせられたわけだ。デヴィッド・リー・ロス期もサミー・ヘイガー期も好んで聴いていて、〝When It's Love〟は今聴いても青春を呼び起こさせる一曲だ。

ただヴァン・ヘイレンは何年かかっても弾ける気がしない《ギター挫折》を僕に味合わせたバンドでもあった。ハードロックを敬遠していった理由の一つに「弾けない」というのはあったのかもしれない。

中学のバンド仲間の中で1番人気だったハードロックは有無を言わさずボン・ジョビだった。あとはエアロ・スミス、というか『JUST PUSH PLAY』か。

こうして並べてみると、中学時代の僕は70年代後半以降のアメリカ産業ハードロックを好んでいたようである。典型的な平成生まれハードロックリスナーとも言えるだろう。

UKハードロックを聴き出したのは本格的にロックに目覚めてからで、ロック史を辿る過程で出会っていくことになる。ハードロックの草分け的なとこでいうとクリームフリー『グッバイ・クリーム』『Highway』なんかはよく聴いたな。

そしてやはりレッド・ツェッペリンにはぶっ飛ばされた。最初に聴いたのは『プレゼンス』で、次が『聖なる館』、だから今でも僕はツェッペリンプログレバンドだと思っているところがある。

複雑な進行とリズム遊び、僕はツェッペリンの繊細な部分に魅力を感じた。だから『Ⅰ』『Ⅱ』は未だに馴染まないところがある(Dazed and Confusedは名曲)。代表曲まみれの『Ⅳ』はよく聴いたが1番気に入ったのは『Ⅲ』だった。〝移民の歌〟〝フレンズ〟〝祭典の日〟〝あなたを愛し続けて〟

名曲だらけでぶっ飛んだし何よりハードロックにない表現力があった。ハードロックの《大袈裟さ》に嫌気を感じ始めていた僕はツェッペリンを紛れもない《ロック》バンドだと認識するようになる。《ハードロック》は60'sロックの延長だが、表現の上で何かが損われてしまった、しかしツェッペリンは損なっていない、そんなことを思ったのを覚えている。特に〝胸いっぱいの愛を〟のボンゾのビートには考えさせられた。

〝胸いっぱいの愛を〟って多分他のハードロックバンドならギターリフに合わせて8ビートで叩くはず。ツェッペリンの魅力はペイジとジョンジーとボンゾのフレーズが分離していることだ。それが奥行きのあるアンサンブルを生み出す。各パートが違うことをしてアンサンブルを織りなす、それは実に60's的。ハードロックは逆に一丸となる傾向にある。8分のブリッジミュートギターと8分のルートベースと8ビートのドラム、〝ハイウェイ・スター〟とかがそのイメージだろうか。全員が同じノリであるのはパンクも同じだ。中学時代あんなに両極に感じていたハードロックとパンクがどんどん僕の中で同じグループになっていった。そしてそれは気づけば70年代半ば以降という大きな括りになっていくわけだ。

70年代前半の初期ハードロックはツェッペリンをはじめとして優れたアンサンブルを展開するバンドが多いように思う。それが《一丸化》、その果てに《産業化》していくきっかけを作ったのはディープ・パープルかもしれない(〝ハイウェイスター〟が72年)。ディープ・パープルはベストを持っていたが、上記の理由であまり好んでは聴いていなかった。が、サイケを漁る流れで触れた初期3作品には割と衝撃を受け、サイケ→ハードロックの流れ(衰退?)はディープパープルに教わったように思う。

ツェッペリン、ディープパープルときたら三大ハードロックの最後の一組ブラック・サバス。サバスもサイケ→ハードロックを体現した重要なバンドだが実はほぼほぼ通っていない。どちらかというとオジー・オズボーンのソロを聴いていて、ランディ・ローズが、とかザック・ワイルドが、とか言ってたような。『No More Tears』は思い出深いなぁ。かれこれ15年以上は聴いてないけど。

あとイギリスでいうとクイーンがいるが、なんせ好きな曲が〝キラー・クイーン〟〝バイシクル・レース〟なもんでハードロックバンドという認識はないかな。彼らもハードロックにとどまらない表現力を持ったバンドだろう。

あ、ジェフ・ベック。は『Blow by Blow』『Wired』くらいかも。ジェフベックグループはほとんど聴いてなくて、だからジェフベックはブルースやハードロックというよりもジャジーなイメージが強かったりする。〝スキャッターブレイン〟には度肝抜かれた。

ジェフベックと言えばBBAは聴いた。決して好みではないがそれはヴァニラファッジが好きだったからで、カクタスもその流れで。ヴァニラファッジはアートロックやアーリープログレに括られるかと思うんだけど、ハードロックに大きく影響を与えたバンドだ。

アメリカのハードロック草分け的なとこでいうとブルーチアー、そしてジミヘンか。この辺もやはりアメリカンサイケの流れで聴いていたが、その先に進むことはなかった。だから70年代アメリカンハードロックは全くと言っていいほど聴いてないのよね。GFRも最近まで知らなかったくらい。

で、冒頭に戻るがアメリカンハードロックは70年代後半以降の産業ハードロックのイメージが強くて、ジャーニーとかボストンとか。

あと80年代後半のLAメタルも軽く聴いていた。Guns N' Roses『アペタイト〜』とかモトリー・クルードクター・フィールグッドとか。

今思うとこの辺の中古CDって安かったのよね。中高生の時のCD入手先といえばBOOKOFFの一点張りで、この辺は大体250円で手に入ったような。んで70年代以前のCDは大体1000円を超えていたのよ。だからハードロックやパンクやオルタナやブリッドポップなんかの250円で手に入るCDを片っ端から手に入れるしかなかった。ボウイやイエスジェネシスなんかに興味深々だったが、これも250円で売られてる90年代以降の作品しか手が出なかったり。

LAメタルに関しては大学の先輩に生粋のLAメタラーがいて、一緒にガンズのコピーバンドをやったりもした。そこでやっと2nd『Use Your illusion』を聴いたり、スキッドロウを教えてもらったり。

実際にコピーバンドをやってみるとハードロックの美学みたいなのもわかったり。そんな流れでモトリークルーの来日も見に行ったり。で太ったヴィンス・ニールにガッカリしたり。

まぁハードロック、こんなとこだろうか。浅瀬で止まり、もう日常的に全く聴かなくなったわけなんだけど割と思い出はたくさんあるのよね。世代的には2000年代が青春なんだろうけど、結構ハードロックに青春の匂いを感じてたりするわけだ。あ、そう、メタルは本っっっ当に全くで、メタリカが代表バンドで、その代表曲が〝マスターオブパペッツ〟であることは知ってるが、その曲がどんな曲なのか未だによくわかってないくらい。

そんな僕とハードロックの雑記でござんした。こうやって貼り付けた音源を聴いているとなんだかむずがゆい気持ちになります。青春とはそういうものなのでしょう。

次はパンクか!