ケンジロニウスの再生

ロック史を追いながら関連図を作成

4-7 Twink〜激動の2010年代!〜(第58話)

インターネットは便利だ。人類の知識の共有によって膨大な情報がネット上にはある。

インターネットを使用し始めてから僕の音楽探究が急激に加速したことは前にも言ったが、本当にネットというのは調べれば山ほど情報が出てくる。調べれば…

 

ネットってのは情報を掴みに行く、実に情報に対して能動的なスタンスで向かい合う場所だなぁと思う。そこには嘘や間違いも混じった整理されていない無限の情報があり、自分の意思で狙いを定めて潜っていかなければ正しい情報は掴みとれない。どんな言葉を打ち込んで検索をかけて情報を入手できるかは僕の〝疑問〟〝興味〟によるところが強いように思うのだ。

対して《編集されまとめられた情報》であるTVや雑誌などのメディアの情報を受け取ることは情報に対して受動的だと言えるだろう。もちろんネットでもネットニュースやSNSなんかで垂れ流しにされている情報はもちろん受動的な情報だ。まぁなので〝ネット〟そのものというより〝ネット検索〟という行為が情報に対して能動的と言うべきか。

僕はTVをもう何年も持っていない(おぉ…10年くらいになるかも)。ネットを使えるようになってからは音楽誌も見ることがなくなった。ので僕が手にする情報のほとんどは与えられたものではなく掴みに行った情報だ。興味のあることや疑問に感じたことしか掴みにいかないので少々〝世間知らず〟な面もある。そんなわけで最新の音楽情報やニュースに非常に疎くてTVを持たなくなったここ10年くらいは今何が流行っているかとか全く察知できていない(コロナウイルスくらいは流石に知ってまっせ)。しかし〝受け取る情報〟が全くないわけではなく友人からの情報ももちろんあるし街を歩けば広告なんかも目に入る、ネットでも近辺の音楽仲間に偏るがTwitterのタイムライン、それにこのブログの購読ブログなんかもそう。

 

さて、別に僕は〝情報に対して能動的であるべきだ!〟とか〝TVはよくない!〟とかそんなことを言いたいわけじゃなくて(僕は10年持ってないがTV大好き)、ただTwinkが2010年代にリリースした数枚のアルバムの情報〟を何故2020年になるまで掴み取れなかったのか受け取れなかったのか、という1人反省会の末こんな書き出しになってしまったわけ。逐一【Twink 新作】で検索をかけてれば間違いなかったろうが、それはちょっと流石に無理で(twinkは60年代後半から70年辺りに活躍したサイケ野郎)、それ以外ではどんな方法があったろうか。まぁTVでは多分Twinkの新作にはどこも触れてないにせよ、どっかのラジオで言ってなかっただろうか、タワレコに通ってれば見つけれただろうか、どの音楽誌を毎月買ってればよかったのか、Twitterで誰をフォローしてればよかったのか、Amazonでオススメメールが来るにはどうすりゃよかったのか……

 

このTwink情報取りこぼし事件》の発覚はApple Musicの〝For you(オススメみたいなもので好みと思われる音楽を勧めてくれる)〟にTwink「Think Pink Ⅳ(2019)」が出てきたことであった。「Think Pink」とは言わずと知れたTwinkが70年にリリースしたサイケの名盤であるが、「Ⅳ???ⅡもⅢも知らんのに!」となって調べたら2010年代にたくさんリリースしていたことが発覚したわけだ。まさに受動的な情報である〝For you〟を普段全く見てなかったが、こんなとこに隠れているとは。

 

結論何が言いたいかと言うと、今の時代ネット上には無限の情報があるがそこから欲しい情報を掴み取るのは困難だなぁ、ということ。『調べてわかることを勉強しても意味がない』みたいな言葉を聞いたことがあるが、僕は『調べてわかることも調べないと意味がない』だと思う。調べりゃ大抵のことは何でもわかる時代だが、調べなきゃその情報や知識は無いに等しい。で、必要なものは結局〝疑問〟〝興味〟だ。僕がTwinkの近頃の活動情報を取りこぼしていた要因は〝興味が足りてなかった〟に尽きる。猛省。

 

 

4-7 Twink〜激動の2010年代!〜(第58話)

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ここんとこUSサイケばかりだったので久しぶりにイギリスへ。The Fairiesから始まりTomorrow,Pretty Things,Pink Fairies、そしてシドバレットとのStarsでドラムを叩き、70年にソロ名義でサイケの名盤「Think Pink」をリリースしたブリティッシュサイケの重鎮ジョン〝トゥインク〟アルダーの最近の活動について。

とはいえ前置きで書いた通り僕は2010年代のトゥインクの活動に長らく気づかず、ほんの数週間前に知ったばかり。それにしてもこのブログを始めてから学生時代を遥かに上回る量の英文を読んでると思うんだけど一向に英語上達しないのね。なわけで最近のトゥインクについては日本語の記事も少なくて、イマイチ把握できてはいないんだけども。

それでもこうして書こうとしてるのは感動と興奮による勢い的なところが大きくて。基本的には往年のミュージシャンの年老いてからの音源にはそこまで興味なくて、ポール・マッカートニーの新作もちゃんと聴けてないくらいで。何故夢中になれないかって考えると、例えば〝Tears In Heaven〟を歌うエリック・クラプトン「丸くなった」と感じてしまう感性を持ってしまっている、というのが全てなんだろうけど。そんな中でトゥインクの全盛期から40年以上経った2010年代の音源があまりにも〝相変わらず〟だったことが嬉しくて嬉しくてね。流石にカーリーなロングヘアーは失ってしまったが、ピンクのハットをかぶって年老いても尚特殊なオーラを纏った姿もね。

 

さてそんなトゥインクの近況を調べると共にもう一度彼の音楽キャリアをおさらいしてみよう!と色々見てたら知らなかったことが山ほどあった。僕はシド・バレットピンクフロイドケヴィン・エアーズ(ソフトマシーン)トゥインク(トゥモロウ)の3人をロンドンアングラの3大ロックスターとしてカテゴライズしてるくらいはトゥインクのこと好きだと思ってたんだけど、実際トゥインクのこと全然知らなかったのね。

トゥインクについてはTomorrowの回で軽く触れたが、そこで書き漏らしていた点を補足しつつ2010年代にリリースした作品達を見ていこうと思う。

 

流浪人トゥインクの音楽キャリア

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数々のバンドを渡り歩いたトゥインクの音楽キャリアをさらっと。

The Fairies(63'〜66')

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Tomorrowの回では触れなかったがTomorrow以前にトゥインクが在籍していたのがThe Fairies。63年にイングランドコルチェスターにてデーン・スティーブンスを中心に結成されたR&Bバンドで、当初は〝Dane Stephens and the Deep Beats〟というバンドであったが改名しThe Fairiesとなった。

このバンドは皆ステージネームを持っており、ジョン・アルダーもこの時期からトゥインクと名乗っている。由来は家庭用のパーマ液のブランド名の『Twink』であり、長いカーリーヘアーはトゥインクの大きな特徴であった。

フェアリーズは64年にボブディランの〝くよくよするなよ〟のカバーでデビューし計3枚のシングルを残した。66年にトゥインクはロンドンへ移り、Tomorrowの前身バンドであるThe In-Crowdに加入する。

 

Tomorrow,Aquarian Age,The Pretty Things(66'〜68')

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この辺については以前書いたのでリンク貼っときます!

【4-3ロンドンを走ったもう一つの自転車「Tomorrow」!】

https://kenjironius.hatenablog.com/entry/2019/05/31/100141

Santa Barbara Machine Head(67')

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これが全く知らなかったんだけど、トゥモロウ活動中の67年にサンタバーバラマシーンヘッドというインストブルースバンドを結成している。メンバーは元The Birds(米Byrdsとは違う)でこの後The Creationに加入するロン・ウッド(ギター)とキム・ガードナー(ベース)の2人と翌年Deep Purpleを結成するジョン・ロード(鍵盤)、そしてトゥインク(ドラム)というすんごいメンツ。残されたのは67年にレコーディングした3曲のインストブルース曲のみで、68年〜69年にリリースされたブリティッシュエレクトリックブルースのコンピレーションアルバム『Blues Anytime Vol.1〜Vol.3』のVol.3にその3曲が収録されている。僕はこの3曲をYouTubeで聴いたので『Blues Anytime』自体はちゃんと聴いてないが、ジョン・メイオールやクラプトン、ジェフ・ベックジミー・ペイジにニッキー・ホップキンスやストーンズの面々など名だたるメンツが参加しているコンピアルバムであるよう。Vol.1だけApple Musicに発見。

 

「Think Pink」とPink Fairies(70'〜71')

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トゥモロウ解散後、同じくトゥモロウのジョン〝ジュニア〟ウッドとのユニット、アクエリオン・エイジにてシンガーソングライターとしての才能を開花させたトゥインクはついに70年にソロアルバム「Think Pink」をリリースする。

不屈の名作「Think Pink」のバックを務めたのはThe Deviantsの面々で、その流れでPink Firiesが結成されたことは以前に書いたが、1人重要な人物を書き漏らしていた。

「Think Pink」Pink Fairiesは3人の人物が中心となって動いていたようで、もちろんトゥインク、あとDeviantsのボーカルのミック・ファレン、そしてもう1人がティーブ・ペレグリン・トゥックという男である。

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ティーブ・ペレグリン・トゥック、誰だっけと思ったらTyrannosaurus Rexのパーカッションだった。Tyrannosaurus Rex〝20th Century Boy(73')〟でお馴染みのマーク・ボラン率いるT-Rexの元の名である。T-Rexは70年代にグラムロックバンドとして成功するが、改名前、Tyrannosaurus Rex時代の60年代後半は異質なアシッドフォークをやっており、マーク・ボランパーカッショニストという特殊な編成のサイケデリックデュオであった。68年1st「My People Were Fair and Had Sky in Their Hair... But Now They're Content to Wear Stars on Their Brows」(タイトル長すぎ)は僕もお気に入り。そのマークボランの相棒がティーブ・ペレグリン・トゥックである。

Tyrannosaurus Rex名義では68年〜70年まで4枚のアルバムをリリースしているが、ティーブ・トゥックは69年3rdUnicornまで在籍。「Think Pink」が70年であるので、Tyrannosaurus Rexを脱退してからトゥインクDeviantsと行動を共にした感じだろうか。

 

僕はロンドンアングラの3大ヒーロー、シド・バレットピンクフロイド)、ケヴィン・エアーズ(ソフトマシーン)、トゥインク(トゥモロウ)の血を引く次の世代(まぁ1歳2歳くらしか歳変わんないが)がマーク・ボランデヴィッド・ボウイ、というイメージがある。まぁボランボウイが熱狂的なシドバレットのファンであったことが大きいが、2人がUFOクラブなどのロンドンアングラで活躍するシドに夢中だったのならもちろんピンクフロイドと共に切磋琢磨していたソフトマシーントゥモロウにも影響を受けてないわけはなくて。そんなわけでマークボランの相棒であったティーブ・トゥックが70年にトゥインクと行動を共にするのは非常にしっくりくる。

ちなみにペレグリン・トゥック〟はステージネームであり指輪物語の登場人物から取られている。出ました『指輪物語』!こないだ〝魔法〟と〝ロック〟について書きましたね。

9-4 Gandalf〜リヴァーブの魔術師〜(第55話)

https://kenjironius.hatenablog.com/entry/2020/02/04/132059

 

さて、Pink Fairiesトゥインクミック・ファレンティーブ・ペレグリン・トゥックが中心となって結成されたのは間違いないんだが、実は71年1st「Never Never Land」にはファレンとトゥックの姿はないし、さらにはその1stリリース後にトゥインクも脱退する。3人がちゃんといた極初期、70年ごろのPink Fairiesは〝Pink Fairies Rock 'n' Roll Club〟と呼ばれるロンドンアングラに君臨する曖昧なコミュニティのようなものであったようで3人とThe DeviantsシドバレットThe Pretty Thingsがそこに含まれていたとあるがイマイチ詳細は掴めない。70年「Think Pink」を発端にこのコミュニティは始まり、同70年ファレンのソロアルバムMona – The Carnivorous Circus」(未聴)を制作。その後トゥインクとThe Deviants(ファレンを除く)がPink Fairiesとして活動し71年に1st「Never Never Land」をリリース、ファレンとトゥックはShagratを結成した。Shagratは短い期間で消滅したが、これまた指輪物語から取られた名である。

 

Pink Fairiesは英アングラを牽引する存在であったが、同じ界隈には元祖スペースロックでお馴染みのHawkwindがおり2組の親交は深かったようで、〈Pinkwind〉としてパフォーマンスを行っていたこともあるよう。Hawkwindの70年1st「Hawkwind」Pretty Thingsディック・テイラーがプロデュースを務めており、この辺のトゥインク周りのアングラ界の関係は非常に深かったようだ。しかしホークウィンドはそこまでハマれてないのよねん…

 

Stars

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71年にトゥインクはPink Fairiesを脱退し、その後がシドバレットの最後の輝き、Starsでのドラムである。

Starsについてはシドバレットの回で触れたのでそちらを…

4-2 狂ったダイヤモンド シド・バレット

https://kenjironius.hatenablog.com/entry/2019/05/25/180509

 

その後

さて、ここら辺りまでが僕の知るトゥインクのバンド遍歴で、この後はピンクフェアリーズへ再参加したりで細々と…くらいにしか思ってなかったのよね。

ちょいと長くなっちゃったので、2話に分けます!次回はその後のトゥインクと2010年代のトゥインク作品を!

 

トゥインク周りの図が非常に混雑してるので、また整理できたら付け足していきます!

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(トゥインク周り)