ケンジロニウスの再生

ロック史を追いながら関連図を作成

好きなブルース

好きなブルース

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前回の続きです。

ブルースについて。
ロックの世界に少し足を踏み入れるとすぐにロバート・ジョンソンに出会うことだろう。ストーンズやクラプトンといった60年代イギリスのロッカーが彼を讃え曲を取り上げたことで伝説的存在にのぼりつめた1930年代のブルースマンだ。

僕も例に漏れずロックを聴き始めてすぐにロバートジョンソンの存在を知り、30曲入りくらいのベスト盤を購入した。ロバジョンといえば《クロスロード伝説》、僕は「辻」という名字で、「辻」は英語にすると「クロスロード」。そんなことにシンパシーを感じながらもブルースを知るためにロバートジョンソンを聴いていた。しかし聴けども聴けどもこれが響かなかった。正直この時の苦手意識が今もなお尾を引いているところはある。戦前ブルースを聴くにはあまりにも若すぎた。それでデルタブルースは今の今までロバジョンくらいしか聴いたことがないし、三大キングもほとんど聞かず、何年か前に行ったクラプトンの来日公演での途中のブルースタイムも寝てしまった始末。

ブルースロックはというと、アレクシス・コーナーブルース・ブレイカーズにもハマれず、クリームは好んで聴いていたが、何せジミヘンにハマれなかった(これもそれじゃダメだと長らく思っていた)。フリートウッドマックアメリカ時代の方が馴染み深く、フリーはハードロックとして聴いていた。ブルースロックから派生したハードロックの話はまた別にするとしよう(ちなみにツェッペリンにはしっかりハマった)。

サイケにドップリハマったが、それでもガレージサイケやサイケブルースは苦手だった。やはりカラフルに彩られたサイケに惹かれてしまう。でもドアーズとかのサイケブルースには色はないが、混沌がある。カラフルサイケやスペーシーなサイケが持つ無重力感とは真逆の重力満載のサイケデリック。それはそれで宇宙を感じるのよね。ヨーロッパでブームとなったプログレッシブロックはある種ブルースとは無縁のジャンルだろう。しかしその代表格であるピンク・フロイドの実体はブルースロックだったりする。フロイドも重力と混沌を持ってして宇宙的な音を鳴らしたバンドと言えるか。

 

さてさて、そんな僕が1番好きなブルースはというとボブ・ディランになる。

ディランの65年『Bringing It All Back home』はフォークロックの始まりとして位置づけられるが、実のところディランのロックはブルースロックと呼んだほうが正しい要素を多く含んでいるのだ。

Bringing It All Back Home (Reis)

同じく65年に『ミスタータンブリンマン』でデビューしたバーズの方がフォークロックの始まりとしてはしっくりくる。フィルスペクターの《ウォールオブサウンド》系譜の「サウンドの豊かさ」はフォークロックというジャンルに必要な要素だと思うのだ。そういう意味では〝Like a Rolling Stone〟は紛れもなくディラン流フォークロックであると言えるのかも。

保守的なファンによるディランエレキ化へのブーイング事件で知られる65年〔ニューポートフォークフェスティバル〕でディランのバックを務めたのはポールバターフィールドブルースバンド。『Bringing It All Back Home』はディラン流R&Rと呼べる曲が多く収録されており、そこにはもちろんブルースの香りが漂っている。《ブリティッシュインヴェイジョン》の煽りを受けてディランはロック化したわけだが、その発想源はビートルズよりもストーンズやアニマルズにあったのかもしれない。

特にブルースロック色が強いのがエレキ化2作目の『追憶のハイウェイ61』だろう。

このアルバムにはポールバターフィールドブルースバンド→エレクトリックフラッグといったブルースロックバンドでギターを弾いたアメリカ屈指のブルースロックギタリスト、マイク・ブルームフィールドが参加している。マイク・ブルームフィールドは60年代後半にアル・クーパーとコラボし『スーパーセッション』、『フィルモアの奇蹟』といったブルースロックの重要作品を残すが、そのアル・クーパーも『追憶のハイウェイ61』に参加(〝Like a Rolling Stone〟でのオルガンエピソードはあまりにも有名)。この2人が参加してることからも紛れもないブルースロックアルバムだと言えるだろう。

そもそも「ハイウェイ61」というのは「ブルースハイウェイ」と呼ばれるほどブルースとの関わりが強い道路であり、ロバジョンが悪魔に魂を売ったとされる十字路もハイウェイ61上にあるらしい。そんなブルースへの想いがタイトルからも窺えるこのアルバムが《フォークロック》の重要作として語られていることはアルバムの本質を惑わす原因となっているだろう。

そんなわけで僕が1番好きなブルースロックアルバムは『追憶のハイウェイ61』だ。特に〝やせっぽちのバラッド〟は極上のブルースロックだと思っている。

《フォークの神様》として親しまれるディランだが、音楽的にはフォーク/カントリー/ブルースを混ぜ合わせたもの。60年代前半の弾き語り時代からそうで、あの辺のアメリカンフォーク(コンテンポラリーフォーク)はフレッドニールにしたって大体がフォーク/カントリー/ブルースのミックスになっている。

ディラン、フレッドニールとも親交があったと言われるカレン・ダルトンのブルース曲もかなり好きなブルースロックだ。

IN MY OWN TIME+4 BONUS TRACKS

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カレン・ダルトン2ndではザ・バンドのプロデューサーとして知られるジョン・サイモンがピアノを弾いてるわけだが、ピアノブルースは割と好きみたい。〝やせっぽちのバラッド〟もピアノブルースだし。

アメリカンフォークに自然とブレンドされているブルースも割と好きみたい。ブリティッシュフォークとアメリカンフォークの違いはブルース/カントリーがブレンドされているかどうかなのかもしれないな。

しかしブリティッシュフォークの代表格であるペンタングルなんかもブルース色が強いバンドだ。

バート・ヤンシュジミー・ペイジも憧れるブルースギタリストだし、ダニー・トンプソンテリー・コックスはアレクシス・コーナーのブルースインコーポレイテッドに在籍していたわけで、ペンタングルはブリティッシュブルースロックの一味と言えるバンドだ。そこから枝分かれするように彼らはトラッドフォークとジャズ、ブルースを組み合わせて独自の音楽を作り出した。自然とフォークとブルースが混ざっていったアメリカンフォークと違って純度の高いトラッドと純度の高いブルースをミックスした音楽性はそれはそれで面白い。

ジョン・レノンのブルースも好きだ。〝Revolution〟なんかはサイケブルースの完成系だろう。

なんか〝ヤー・ブルース〟について「あの頃はブルースという言葉を使うことに慎重にならなければならなかった」的なジョンの発言を記事で読んだことがあるが、このインタビューから伝統性が重視されすぎたブルースに当時はかなり気を使わなければならなかった背景が窺える。現にストーンズなんかは《プラスチック・ソウル(まがいものの魂)》なんて本場のブルース界隈から揶揄されてたわけで。ビートルズはブルースの正統な伝導者というわけではないが、60年代末のブルースブームの中後期はブルースロック曲をいくつか作ったわけで、そこに少なからず気づかいは必要だったんだなぁ、と。

あとピンクフロイド〝Money〟ね。これもブルースロックの完成系だと思う。

 

そう、おれ好きなブルースたくさんあるやん!ってことに気づいたわけです。ブルース苦手って勝手に思いすぎて見失ってました。

そんなことでブルースへの苦手意識を取り払えそうな兆しが見えた、というどーでもいいお知らせ雑記でござんした。

では!次はR&Rについてでも!