ケンジロニウスの再生

ロック史を追いながら関連図を作成(関連図挫折中)

2-3 英国フォークロックの礎を築いた男ジョーボイド!

2-3 英国フォークロックの礎を築いた男ジョーボイド!

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「The Foolがジャケットを手がけた3枚」ホリーズ、ムーブ、インクレディブルストリングバンドから始まった第2章、今回はインクレディブルストリングバンドを見出したプロデューサー、Joe Boyd(ジョーボイド)から見ていこう。

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英フォークロックを代表するバンドを発掘し、英フォークを盛り上げたジョーボイドだが、実はボストン生まれのアメリカ人である。彼がイギリスに訪れたのは64年のことで、アメリカのレーベルであるELEKTRAレーベル英国支部長として渡英。この時期にインクレディブルストリングバンドを発掘している。

伝説のアングラクラブ、UFOクラブ

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(UFOクラブでのピンクフロイド)

ボイドは66年にJohn Hopkins(通称ホッピー)と共にロンドンのアングラクラブとして有名な"UFO CLUB"を開いた。ホッピーが収監されたことで67年には閉店し、わずか9カ月の営業期間であったが黎明期の「Pink Floyd」や「Soft Machine」が出演していたこと、ジミ・ヘンドリックスが出入りしていたことで伝説化したライブハウスである。

ボイドはピンクフロイドのデビュー曲「Arnold Layne」をプロデュースするなどUFOクラブの運営と同時にプロデューサーとしても仕事をしていた。

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英フォークロックの礎を築いたジョーボイド!なんて言っておきながらいきなりピンクフロイドとソフトマシーンというロックのビッグネームが飛び出してしまったがここから。

UFOクラブ時代、自らロンドン中を走り回って出演させるバンドを探していたボイドだがそんな中発見したのが英フォークロックを代表するバンド「Fairport Convention」だった。

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Fairport Conventionとサンディ・デニー

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ボイドはFairport ConventionをUFOに出演させ、68年に1st「Fairport Convention」をプロデュースしリリース。

当初はボブディランやジョニミッチェルなどのアメリカンフォークに影響を受けたバンドであったがボーカルがサンディ・デニーに代わり69年頃には自国の民謡であるブリティッシュトラッドを取り入れてブリティッシュフォークロックと呼ばれる音楽を作り出すようになる。

ソロとしも有名なシンガーであるサンディデニーが在籍していたのは2ndアルバム「What We Did on Our Holidays」3rd「Unhalfbricking」4th「Liege & Lief」の3枚であり必聴。

UNHALF BRICKING

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リージ・アンド・リーフ

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サンディデニーは71年リリースのLed Zeppelinの「Ⅳ」に収録されている「The Battle of Evermore」でリードボーカルとしてゲスト参加しており、この曲はツェッペリンでロバートプラント以外がリードボーカルをとった唯一の曲である。

この参加はサンディデニージミー・ペイジキングストン美術学校(Kingston School of Art)で同窓であったことがきっかけだと思われ、他にもペンタングルのジョンレンボーン、The Whoのピートタウンゼントも同時期に在籍していたらしい。ちなみにペンタングルはフェアポートコンベンションと同じくブリティッシュフォークを代表するバンドである。

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サンディデニーであるが、フェアポートコンベンション加入前に「ストローブス」というバンドに在籍しており、ストローブスは後に「イエス」に加入するキーボーディスト、リックウェイクマンが在籍していたことがある。

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プログレ勢が揃ってきたなー)

他にもボイドがプロデュースを手がけたフォーク系アーティストを。

Nick Drake

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SSWであるニックドレイクはフェアポートコンベンションのアシュレーハッチングスに見出され、ボイドプロデュースの元、69年に「Five Leaves Left」でデビュー。このアルバムではフェアポートコンベンションやペンタングルのメンバーがレコーディングに参加。2ndではヴェルベットアンダーグラウンドのジョンケイルも参加した。

評論家から高い評価を得たものの全く売り上げの伸びないことに失望したニックドレイクは3rd「Pink Moon」を「飾りはいらない」と自身の歌とギターとピアノのみで録音。

74年に26歳という若さでこの世を去った。抗うつ薬の過剰服用が原因。

彼の繊細な歌と楽曲は死後80年代以降に再評価を受け、今ではイギリスを代表するフォークシンガーである。

Pink Moon [12 inch Analog]

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vashti bunyan

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今となってはブリティッシュトラッドの女王のヴァシュティバニヤンだが、大きく評価されたのは2000年にCD化されてからのようだ。

70年リリースの1st「Just Another Diamond Day」をボイドがプロデュース。ほんとに素晴らしいトラッドフォークである。フェアポートコンベンションのメンバーやインクレディブルストリングバンドのロビンウィリアムスがバックで参加している。

2000年以降の再評価を受けてか2005年に2ndアルバムを2014年に3rdアルバムをお婆ちゃんになってリリースしているんだけど、これがまた素晴らしいものなんです。

Just Another Diamond Day

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Lookaftering

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Shirley Collins

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シャーリーコリンズ68年作の「The Power of the True Love Knot」もボイドプロデュース。元々無伴奏でトラッドを歌う歌手であるシャーリーコリンズがフォークロックの波を受け姉妹であるドリーコリンズとインクレディブルストリングバンドをバックに作った1枚。上のアルバムジャケットは2000年にCD化された時のもの(オリジナルはまた別のジャケット)。

こうした素晴らしいフォークシンガー達をプロデュースしたボイド。

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3人の情報をさらっと書いたけど見ての通りフェアポートコンベンションやインクレディブルストリングバンドのメンバーがほんとによく使われている。これだけの素晴らしい作品達をボイドの周りの狭い範囲で作ってるんだからお手上げです。

Dr.strangely strange

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最後にこれ。

僕の最近お気に入りのドクターストレンジリィストレンジというアシッドフォークバンドの70年2ndもジョーボイドプロデュース。1stの方が好きなんだけど…

Heavy Petting

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インクレディブルストリングバンドが好きな人にはオススメです!

この2ndは「ヴァーティゴ」というレーベルからリリースしたんだけど、このヴァーティゴレコードがほんとに面白いので繋げます!

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映画「ジミ・ヘンドリックス

ボイドはかの有名なジミヘンの伝記的映画、「ジミ・ヘンドリックス」の監督でもある。73年公開。僕もこれとウッドストックタワレコで980円で買って死ぬほど見ました。とにかくインタビュー受けてるクラプトンがイケメンすぎるのよ…

ボイドは70年の終わりにはアメリカに帰国し85年にはR.E.Mの3rdアルバムをプロデュースするなど仕事をし、現在もご存命である。

図はここまで。

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わかるだろうか左端に縦に並んでるバンド達が!

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プログレの幕開けじゃい!

早くも3章にした方がいいかも…

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